腎臓内科の主な疾患
慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)
慢性腎臓病(CKD)とは、蛋白尿などの検尿異常や腎障害、腎機能の低下が3か月以上続く状態をさします。主な疾患には糖尿病性腎症、腎硬化症、IgA腎症などがあります。
初期には自覚症状がありませんが、進行すると、夜間尿、貧血、倦怠感、むくみ(浮腫)、息切れなどの症状が出現します。腎臓病は一定以上腎機能が悪くなると機能の回復が難しく、そして次第に病状が悪化していくと、最終的には人工透析などの治療が必要になります。しかし、軽度のうちに発見して治療を開始することでそれらのリスクを軽減することができます。治療には食事療法、薬物療法、生活習慣の改善などがあります。定期的な検査と、継続して治療を行うことが大切です。健康診断でタンパク尿・血尿などの検尿異常や腎障害を指摘されたら、迷わず受診してください。
血尿
血尿とは、尿に血液が混じる状態を指し、見た目で赤くわかる「肉眼的血尿」と、検査でのみ確認される「顕微鏡的血尿」に分けられます。原因としては、尿路感染症、尿路結石、腫瘍、腎臓の病気などさまざまなものが考えられます。一時的なこともありますが、繰り返す場合や原因が不明な場合には、画像検査などを含めた評価が必要です。
蛋白尿
蛋白尿は、本来は尿中にほとんど含まれない蛋白が検出される状態で、腎臓の働きに異常がある可能性を示します。発熱や運動後など一時的にみられることもありますが、持続する場合には慢性腎臓病などの可能性も考えられます。定期的な検査と経過観察が重要です。
糖尿病性腎症
糖尿病の三大細小血管合併症といわれる糖尿病腎症は、糖尿病の発症から10~20年程度かかるとされています。早期には自覚症状が乏しいため、尿検査で診断します。進行すると、むくみ、息切れ、食欲不振、倦怠感などの自覚症状が出現します。顔色が悪い、嘔吐、筋肉のつりといった自覚症状が現われることもあります。自覚症状が出る前の段階までに発見することが重要とされています。近年、糖尿病の治療薬に加え、心臓や腎臓など合併症でおきてくる臓器疾患に対しても有効性のある薬剤が開発されています。早期からの治療開始によって長期的な予後が改善される可能性がありますので、定期的な受診でしっかり管理していくことが大切です。
腎硬化症
腎硬化症は、高血圧が原因で腎臓の血管に動脈硬化を起こし、腎臓の障害をもたらす疾患です。
動脈硬化は腎臓以外の場所でも同時に進行するため、生命にかかわる心筋梗塞や脳卒中などの危険性も高くなっていきます。従来は高齢者の疾患でしたが、メタボリック症候群に代表されるように、働き盛りからもっと若い30代でも血管に硬化がきている患者さんも最近は多くなってきました。
ゆっくりとした経過を辿りますが、高齢になり透析が必要となることも少なくありません。血圧をコントロールすることが大切で、生活習慣の改善や適切な降圧薬の治療が必要です。
慢性糸球体腎炎
腎臓の糸球体の炎症によって、タンパク尿や血尿が持続する病気を慢性糸球体腎炎と呼びます。日本人で最も多い疾患はIgA腎症です。原因はまだはっきりと分かっていませんが、最近の研究で腎臓の糸球体に異常な免疫タンパク(糖鎖異常IgA)が溜まることが指摘されています。学校や職場の検診検尿で血尿や蛋白尿を指摘されたり、また上気道感染症の数日後に血尿が出て受診し診断されることが多いです。早期に診断し適切な治療を継続して行うことが大切です。
多発性嚢胞腎
多発性嚢胞腎(Polycystic Kidney Disease:PKD)は、腎臓や肝臓、脳血管などに、「嚢胞(のうほう)」という、水分の溜まった袋がたくさんできる疾患です。1,000〜4,000人に1人と、頻度の高い遺伝性疾患です。嚢胞が次第に増大し、正常な腎臓組織を圧迫していくと、腎機能が低下し、約半数は60歳代で透析に至ります。「家族に血液透析を行っている方がいる」、「脳出血で倒れた方がいる」という場合には、この病気が家族性に発症している可能性を疑います。一方、家族歴がはっきりない場合もあります。長い間、有効な治療がない疾患でしたが、2014年以降、トルバプタンという利尿薬の1種が保険適用されました。治療の適応には腎臓容積の増大スピードなどの基準があります。人間ドックや健診の腹部超音波検査で、腎嚢胞を複数指摘された場合、まずは、腎臓内科外来を受診されることをお勧めします。
腎盂腎炎(じんうじんえん)
尿路に起こる細菌感染症の一つです。腎臓内にある尿のたまる部位を腎盂(じんう)といいますが、そこに膀胱から大腸菌などの細菌が逆流することで感染を起こします。急な発熱、悪寒、吐き気、脇腹や腰の痛みなどの症状が出ます。抗生物質や抗菌薬で治療し、3〜5日ほどで熱は下がりますが、治療が遅れると入院が必要なこともあるので早期の治療が大切です。また繰り返すと腎機能が悪化することがあります。そのような場合は定期的に受診し、血液検査等で経過をみていく必要があります。